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マイナス発言は自分を後退させる

『 心を整える 』 という 素晴らしい本があります。 サッカーワールドカップ 日本代表の 長谷部 誠   さんが書いた本なのですが、 物事の捉え方が 単なるアスリートの域を越えて 物事の本質を 的確に掴んでいます。 しかも この本の凄いところは 実体験を 書き連ねているので 『 何故 それが 大事か 』 ということが 体験を通して理解できます。 巷に溢れている 自己啓発の本を読むより よっぽど役に立ちます。 気に入った部分がありましたので  一部を抜粋してみました。 興味のある方は ぜひ読んでみてください。

サッカーというのは、いろいろな要素や人間が 複雑に絡み合っているため、ミスを 人のせいにしやすい  スポーツなのだと思う。 チームメイトに 走らなかったやつがいたから 負けたとか、あいつが ドリブルで抜かれたから 失点したとか、いくらでも責任を 押し付けることができてしまう。 特に 監督のせいにするのは簡単だ。 『 監督は 自分のことを分かっていない 』 などと言うのは 試合に出られない選手の 定番の愚痴だ。 僕は 愚痴 を言わないようにしている。 愚痴というのは 一時的な感情の はけ口になって、ストレス解消に なるのかもしれないけれど、全く効果のない解決策だ。 何も生み出さないし、まわりで聞いている人の気分もよくない。愚痴で 憂さ晴らしをするのは 自分の問題点と 向き合うことから 逃げるのと同じ。 ゆえに 逆に 愚痴を言わないように 心がければ、おのずと 問題点と むきあえるようにもなるのだ。
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ヴォルフスブルクの3シーズン目、指揮官が マガト監督から アルミン・フェー監督に交代した。
当然ながら、僕は一から ポジション争いをすることになる。 ライバルとなるのは 新加入のアルジェリア 代表のジアニと、デンマーク代表のカーレンベリ。 僕はケガで 開幕から1ヶ月間出場することができず、出遅れてしまった。 当時、ひとつだけ 間違いなく言えたのは フェー監督は 僕のプレーを あまり信用していなかった ということだ。 でなければ、僕と同じポジションに 2人も選手を 補強しなかったと思う。 実際、ドイツの新聞や 雑誌の予想スタメンでは、彼らの名前が書かれることが 多かった。 けれど、それを 誰に言ったとしても 現状は改善されない。逆に 自分に何か問題があるかもしれないのに、そこから目を背けることにつながる。 だから僕は 監督が あまり僕を評価していない という現実を受け止め まずそこを 自分のスタートラインにした。 では 監督は 何をMFに求めていて、どんなプレーをすれば 信頼してもらえるようになるのか、試合を観ながら考え続けた。 

新監督のもと、初めてチャンスが訪れたのは 第5節のレバークーゼン戦。 そこまでの戦績は2勝2敗と、 チームの調子は一進一退だった。 僕はそのテコ入れのために 右MFで先発することになったのだ。 いよいよ、僕にとっての開幕だ。 と、意気込んでいたのも つかの間、想定外のことが起こる。 前半34分、GKベナーリオが退場になってしまったのだ。 当然代わりのGKを入れる。 ハーフラインに目を向けると 交代カードが掲げられていて、背番号 『 13 』 が光っていた。 真っ先に僕が交代させられた。 やはり 監督から信頼されていない・・・・・。 

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続く 第6節のシャルケ戦は ベンチスタートだった。 ところが 不思議なもので、今度は 僕が前半31分という早い時間帯に 出場できることになった。 先発した選手の調子が悪かったからだ。 コーチから声をかけられた。 『 ハセベ、入るぞ 』 やる気に満ちあふれていた 僕だったが、このときに 実はすごく悔しいことがあった。 ユニフォームに着替えて、ライン際に立ったときのことだ。 コーチと監督が 何やら言い合っていた。 聞こえてきたのは、監督の 『 なぜ、あいつなんだ? 』 という不満そうな声だった。 この交代の人選に関しては コーチの判断に任されていたようなのだが、フェー監督は コーチが 僕を選んだことに 納得しなかったのだ。 『 ふざけんな! 』 と怒りがこみ上げてきた。 と同時に 自分の現状を 受け止めなければいけない、と気持ちを引き締めた。 『 今日 結果を出さなかったら、もうチャンスはない 』 

僕が見たところ、チームの問題点は  厳しいマガト監督が去ったことで、選手が 随所で 手を抜くようになった、ということだった。 たとえば、ボールを奪われたときに 自陣への戻りが 一瞬遅くなったり、逆に ボールを奪った時に 前へ行く人数が 少なかったり、つまりは 走力不足。 現代サッカーにおいては 致命的な欠陥だった。 だから 僕は みんなが走らなくなった分を 自分が走って 補ってやろうと思った。 

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そして 1対1の同点で迎えた81分。 右サイドに走りこんだ僕は、味方が落としたボールを ワンタッチで 大きく前に蹴り出して、スペースに抜け出した。 ボールに追いついた瞬間、右足でグラウンダーのクロスを入れた。 中央に走りこんだジェコが ノートラップで右足を振り抜き、強烈なゴールが決まった。 チームは  この1点を守りきり、ヴォルフスブルクは 2対1で勝利した。 自分にとっては 監督からの評価を得た、大きな意味を持つ1戦になった。 試合後、フェー監督は 『 期待していたとおり、よくやってくれたな 』 と声をかけてくれた。 『 このオッサン、調子がいいなぁ 』 と思いつつも 悪い気はしなかった。 以後、僕には   右MFの先発の座が与えられたのは言うまでもない。 

愚痴だけでなく、負の言葉はすべて、現状をとらえる力を鈍らせてしまい、自分で自分の心を乱してしまう。 心を正しく整えるためにも 愚痴は必要ない
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by natuyasumi2010 | 2011-07-08 14:16
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