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お風呂

我が家の いたずらむすめは 最近 お風呂で もぐるように なりました。  
お兄ちゃんが プールで もぐったりするので お兄ちゃんの まねをして お風呂でも もぐります。  
ところが いたずらむすめは もぐる というより おぼれている に ちかい もぐり方をします。  
ぷか~ と うつ伏せで うかんでいたときは 正直 びびりました。  
とんでもない いたずらむすめです

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by natuyasumi2010 | 2011-08-30 12:25 | つぶやき

氷の親子

『 四つ話のクローバー 』 という 水野敬也さんが書いた本があります。 水野敬也さんといえば 『 夢をかなえるゾウ 』 の著者ですが この本は自己啓発の本というより 感性のまま 自分の想いを表現した本です。 子供を持つ父親の気持ちを感じ取れるよう 父性を上手に表現しています。 男性は お母さんが妊娠しても 自分が胎動を感じることが無く 実感がわきにくいので なかなか父性が育ちにくいという傾向がありますが、 父性教育の参考になればと思い 一部を省略し抜粋しました。 興味のある方は ぜひ読んでみてください。

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ここは営業時間の終わった 夏の夜の遊園地です。 静まり返ったジェットコースター乗り場で、 コンコンと ジェットコースターの機体をたたく音が響きました。 『 誰だ? こんな時間に 』 ジェットコースターが眠そうな目を開いて見ると、 そこに立っていたのは氷の熊でした。 氷の熊は言いました。 『 夜分遅くに 大変申し訳ありません。 わたくし熊五郎と申します 』 ジェットコースターは不思議そうな顔でたずねました。 『 これはまた 珍しいお客だね。 何の用だい? 』 『 あの~ この遊園地の 夏の特設会場 “ 氷の動物園 ” はご存知でしょうか 』 『 ああ 知っているよ 』 『 あれは 真夏に氷のひんやり感を楽しんでいただこうという趣向で、 夏休み限定で設けられた会場でした。 そして今日、 夏休みが終わり  “ 氷の動物園 ” は閉鎖されてしまったのです 』 『 そういえば ついさっきまで 大勢の人が作業していたねぇ 』 『 はい。 ですから “ 氷の動物園 ” に展示されていた 私たちは 外に出されてしまったのです。 会場内はとっても冷たかったのですが 暑い外に出されてしまったので どんどん体が溶け始めているのです 』 見ると、ほんのわずかの間に 熊五郎の足元には水たまりができていました。 『 そうだ。 “ アイスワールド ” に行けばいいじゃないか。 あそこは –20℃だからとっても冷たいし 』 しかし、 熊五郎は悲しそうな顔で言いました。 『 私も最初はそう考えました。 しかし あそこは 頑丈な鉄の扉に鍵がかかっており どれだけ 頑張っても扉を開けることができなかったのです 』 『 それはお気の毒に・・・・ 』

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しばし沈黙のあとジェットコースターは顔を上げて言いました。 『 それで、 一体わたしに何の用なんだい? 』 『 それが ・・・ お恥ずかしい話なんですが 』 『 なんだい。 何でも言ってくれよ。 同じ遊園地の仲間じゃないか 』 『 それでは ・・・・ 』 と熊五郎が話そうと思った時でした。 熊五郎の足元に 小さな熊があらわれて 熊五郎にまとわりついてきたのです。 『 ねえ、 おとうさん、 まだ? 』 その小さな熊も、 やはり 氷でできていました。 熊五郎は諭すような口調で言いました。 『 小太郎。 今、 ジェットコースターさんにお願いしているところなんだ。 向こうで待っていなさい 』 『 はーい 』 残念そうに返事をすると、 小太郎はジェットコースターを振り返りながら、 とぼとぼと元いた場所に戻って行きました。 その姿を見ていたジェットコースターは、小太郎に声をかけました。 『 坊主、 乗りたいのか? 』 小太郎は振り返って 『 うん! うん! 』 と何度もうなずきました。 ガシャン! 突然、 ジェットコースターの座席の安全バーが上がりました。 小太郎は 『 うわぁ 』 と目を輝かせました。 熊五郎は驚いてたずねました。 『 よ、 よろしいんですか? 』 『 ああ 』 ジェットコースターは微笑んで言いました。 『 あ、 ありがとうございます! 』 『 礼は後だ。 さあ、 乗った乗った 』 熊の親子が座席に乗り込むと安全バーが下がりました。 そしてジェットコースターの機体がゆっくりと動き出しました。 『 やった! いやっほぅ~! 』 小太郎は床につかない足をぶらぶらさせて遊んでいます。 『 こら 小太郎。 はしゃぐんじゃない 』 小太郎は 『 は~い 』 と答えましたが、 顔は喜びでいっぱいでした。 ジェットコースターは、 ガタガタと音を立てながら ゆっくりと坂を登って行きます。 そして頂上にやってくると ジェットコースターは体に ぐぐぐっ と力をこめて 『 さあ ここから すごいぞ~! 』 言い、 熊の親子が安全バーを握りしめたのを確認すると 『 ひょおおぉぉぉ~ 』 と全速力で走り出しました。 そして 夜の遊園地に 熊の親子の叫び声が響き渡ったのでした。

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『 本当に、 ありがとうございました 』 ジェットコースターを降りた熊五郎は深く頭を下げました。 『 すみません、 座席を濡らしてしまって 』 熊五郎は自分たちの座っていた座席を見て言いました。 ジェットコースターは 熊五郎の体が少しづつ溶けているのを見ながら 『 いいんだ 』 と 悲しそうにつぶやきました。 『 さあ行くぞ小太郎 』 熊五郎は小太郎の手を引いて歩き出しました。 小太郎は 『 ジェットコースターのおじさん! じゃあね! 』 と小さな手を力いっぱい振っています。 ( おいおい、 そんなに手を振ったら 君の体が溶けてしまうよ ・・・・ ) ジェットコースターはそう思いましたが、 口にすることはできませんでした。 ただ、 黙ったまま、 親子の背中を見守っていました。

熊の親子が 次にやってきたのはお化け屋敷でした。 熊五郎が事情を説明し、 小太郎が遊園地をとても楽しみにしていること、 溶けてなくなる前に小太郎を楽しませてあげたいことを話すと、 お化け屋敷の中から、 一つ目小僧、 お岩さん、 のっぺらぼう、 ぬりかべなどのお化けが ぞろぞろと姿を現しました。 『 ・・・・ しかしまあ 遊園地の従業員もひどいことをするもんだねぇ。 用済みになったらポイなんて、 私たちお化けでも そんなひどいことはしないよ 』 お岩さんが大きく腫れあがった目を真っ赤にさせて怒っています。 ひときわ大きな体を持ったぬりかべが太い声で言いました。 『 とにかく、 できる限りのことをしてみようじゃないか 』 すると、 『 そうだそうだ 』 『 やってみよう 』 と他のお化けたちからも声が上がりました。 『 あ、 ありがとうございます 』 熊五郎は何度も深いおじぎをしました。 そして、手をつないだ熊の親子はお化け屋敷の入り口に、 おそるおそる足を踏み入れたのでした。

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『 ・・・・ すまなかったね あんまり怖がらせられなくて 』 一つ目小僧が申し訳なさそうに言いました。 『 いえ 悪いのは皆さんではありませんから 』 お化け屋敷の出口で熊五郎は頭を下げました。 お岩さんが言いました。 『 やっぱり、 お化けってのは 正体が分からないから怖いみたいなところがあるからね ・・・・。 最初に姿ばらしちゃうと、 どうも緊張感がね・・・・。 』 お化け屋敷の出口から ぬりかべが姿を現しました。 両手で小太郎を高く持ち上げています。 小太郎は 『 きゃはは! きゃはは! 』 とはしゃいでいました。 その姿を見て熊五郎は言いました。 『 あの子も、 みなさんが現れると怖がるどころか、 なついてしまうものですから。 』 そして熊五郎はまた頭を下げました。 熊五郎が頭を下げるたびに、 ぽたり、 ぽたりとしずくが地面に垂れました。 『 ほら、 小太郎行くぞ。 ぬりかべさんにお礼を言いなさい 』 ぬりかべはそっと小太郎を地面におろしました。 小太郎は、 『 ぬりかべさん、 遊んでくれてありがとうございました! 』 と行儀よく頭を下げました。 その様子を見たお岩さんは袖で目をおおって 『 ううっ ・・・・・ 』 と泣き出しました。 『 こら。 お化けが泣くんじゃない 』 一つ目小僧が お岩さんを肘で小突きました。 しかしお岩さんは泣き止みませんでした。 『 あんなかわいい子が ・・・・ 残り少ない命だなんて。 そんなの、 本気でおどかせるわけないじゃないか 』 『 ああ ・・・・・ そうだな 』 そういってうなづいた一つ目小僧の大きな瞳にも、 涙がにじんでいるのでした。 

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それから熊の親子はたくさんのアトラクションに乗りました。 高いところから一気に落ちるフリーホール。 ぐるぐると回転しながら動くトップスピン。 キラキラ光るメリーゴーランド。 遊園地を廻るトロッコ列車。 小太郎は大はしゃぎしています。 しかし、熊五郎は焦っていました。 蒸し暑い夏の夜は、 容赦なく二人の体を溶かしていきます。 小さな小太郎の体は、目に見えて溶けて小さくなっていました。 熊五郎と小太郎は次のアトラクションを目指して歩いていました。 そのときでした。 『 あ ・・・・・ 』 熊五郎はふと足を止めました。 そして興奮して叫びました。 『 小太郎、 助かるかもしれないぞ! 』 そして熊五郎は全速力で走り出しました。 熊五郎がやってきたのは売店の前にあるアイスクリームボックスでした。 この中なら氷の体が溶けるのを止められるに違いありません。 しかしアイスクリームボックスには鉄の鎖が巻かれ、 南京錠がかけられていました。 熊五郎は迷わず鎖を手に取って、 思い切り引っ張りました。 バリン! 大きな音がしました。 しかし、 取れたのは鎖ではなく熊五郎の手のほうでした。 氷の腕では鉄の鎖を砕くことはできなかったのです。 しかし熊五郎は取れてしまった腕をもう一方の手でつかんで、アイスクリームボックスの扉に打ちつけました。 ガン! ガン! ガン! 『 お父さん、 やめて 』 小太郎の言葉も聞かずに、 熊五郎は、 何度も自分の腕を打ちつけました。 しかし壊れてゆくのは熊五郎の腕のほうで、 アイスクリームボックスの扉は少しへこんだだけでした。 『 お父さん ・・・・・ 』 熊五郎が振り向くと、 そこにはまた少し小さくなった小太郎がいました。 『 小太郎 ・・・・・ 』 小太郎はおぼつかない足取りで熊五郎に駆け寄り、 か弱い声で言いました。 『 お父さん、 僕、 観覧車に乗りたい 』

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熊五郎と小太郎は坂を登り、 遊園地の一番高いところにやってきました。 熊の親子がやってくると観覧車は扉を開けて待っていました。 『 君たちのことは、 ここからずっと見ていたよ。 さあ、 乗りなさい 』 熊五郎と小太郎が観覧車の中に入ると、 扉がすーっと閉まり、 ギィ という音を立てて観覧車は動き始めました。 

ギシギシと金属の擦れる音を出しながら 観覧車のカゴがゆっくりと上がってゆきます。 熊五郎は小太郎が外の景色を見られるように、 窓際まで体を持ち上げました。 遊園地の周りには森が広がっており、 空には星がキラキラと輝いています。 『 きれいだね ・・・・・・ 』 小太郎が言いました。 『 ああ、 きれいだ 』 熊五郎は力のない声で言いました。 それから二人はずっと外の景色を見ていました。 カゴが揺れる音の合間に、ピタッ ピタッ としずくの垂れる音が響いていました。 『 ・・・・・ 僕、 もうすぐ死んじゃうのかな 』 小太郎が、 小さな声でポツリとつぶやきました。 熊五郎は言いました。 『 大丈夫だ。 お前は死なない。 お父さんが何とかする 』 『 でも ・・・・・ 僕の体、 どんどん小さくなっちゃってるよ 』 小太郎は、 夜の闇に消え入りそうな、 小さな声で言いました。 『 お父さん。 僕、 怖い ・・・・・ 』 この日、 どんなに怖いアトラクションでも楽しんでいた小太郎は、 今、 観覧車の中で、 熊五郎に抱きかかえられながら震えていました。 しかし熊五郎は小太郎をただ抱きしめることしかできませんでした。 熊五郎は、 私はどうなってもいい。 この子さえ助かれば 私はどうなってもいい。 熊五郎は小太郎を強く守るように抱きしめました。 

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『 お父さん ・・・・・ 』 小太郎は震える声で言いました。 『 お父さん、 僕ね、 外に出られてよかったって思ってるんだ 』 そして小太郎は、精一杯の笑顔を作って言いました。 『 氷の動物園にいたときはさ、 すぐ 動いちゃだめ! って言われるから、 だから僕、 ずっと我慢してたんだ。 僕、 ちゃんと我慢できたでしょう? 』 『 ああ、 ああ 』 熊五郎は何度もうなずいて言いました。 『 お前はよく頑張ったぞ 』 『 えへへ 』 小太郎は照れくさそうに笑いました。 そして、 過去を思い返すように言いました。 『 僕ね、氷の動物園の中でじっとしながら ジェットコースターってどういう乗り物なんだろう って 毎日毎日考えてたんだ。 だって、動物園の中で聞こえるのは、 ジェットコースターの ゴゴー っていう音と、 お客さんたちの キャー っていう声だけなんだもん。 だから今日、 お父さんが 遊園地の乗り物に行くぞって言ってくれたとき、 もう、 飛びあがっちゃうくらいうれしかったんだ 』 『 そうか ・・・・・ 』 熊五郎はうなずきながら言いました。 『 ジェットコースターは楽しかったか? 』 小太郎はすぐに答えました。 『 うん、 楽しかった! 』 熊五郎が優しく微笑むと、 小太郎は顔を上げて熊五郎を見つめました。 そして、 最後の力を振り絞るようにして言いました。 『 お父さん、 僕ね、 今日が生まれてから一番楽しい日だったんだよ 』 『 小太郎 ・・・・・・ 』 『 僕、 お父さんの子供でよかった。 ありがとうね、 お父さん ・・・・・ 』 熊五郎は 『 小太郎! 小太郎! 』 と何度も名前を呼びました。 しかし、 もう、 小太郎の小さな体が反応することはありませんでした。 そして、 観覧車の中には、水の滴が床に落ちる音だけが響いていました。

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それからしばらくしてからのことでした。 ドン! 突然、 衝撃を受けた観覧車のカゴが大きく揺れました。 観覧車は何事かと思い 様子を見ると、カゴの中の熊五郎が、 壁を思い切り蹴りつけていました。  ドン! ドン! ドン! ドン! ドン!  熊五郎は何度も蹴りつけています。 それは、 やり場のない怒りをぶつけているように見えました。 観覧車は、そんな熊五郎の姿を見て哀れに思いました。 じっと黙ったまま、 自分の体が蹴られるのを見ていました。 熊五郎は、 ぶつけた衝撃で取れてしまった足を拾うと、今度はその足を壁に打ちつけました。 いたたまれなくなった観覧車は言いました。 『 もうやめなさい。 そんなことをしても ・・・・・ 』 熊五郎はなにも答えませんでした。 ただ、 バラバラに飛び散った自分の破片を注意深く見つめていました。 そして、 かけらの一つを手に取ると小太郎の体に持っていきました。 そして ていねいに形を整えたのです。 『 お父さん ・・・・・ 』 小太郎の声が少しだけ聞こえました。 すると熊五郎は、さらに別の破片を拾って小太郎につなげました。 それから熊五郎は、 地面に飛び散った破片を注意深く選んでは、 小太郎の体にくっつけてゆきました。 こうして熊五郎は、 自分の体を崩しながら小太郎の体を元に戻していったのです。 小太郎は今にも泣き出しそうな声で言いました。 『 お父さん。 こんなことしたらお父さんの体が ・・・・・ 』 熊五郎は 『 いいんだ 』 とだけ言うと そして時間をかけて、 小太郎の体を直していきました。 小太郎の体が直ると 熊五郎は言いました。 『 観覧車さん。 扉を ・・・・・ お願いします 』 観覧車は言われたとおり扉を開きました。 熊五郎は、 抱えていた小太郎を座席の下に優しく置くと言いました。 『 さあ ・・・・・ 行きなさい 』 熊五郎は片手をぎこちなく伸ばし、 遊園地を指差しました。 『 もしかしたら、 まだどこかに、 体が溶けるのを防いでくれる場所があるかもしれない ・・・・・ だから ・・・・・ 』 熊五郎は何度も呼吸を整えながら言いました。 小太郎は不安そうに熊五郎を見上げて言いました。 『 お父さんは? 』 熊五郎は自分の体を見ました。 ぼろぼろになった体は、もう満足に動きませんでした。 『 父さんは ・・・・・ ここに残る 』 『 どうして? 』 小太郎は言いました。 『 お父さんが一緒じゃなきゃ嫌だ! 』 そして小太郎は座席の上によじ登り、 小太郎の体にすがりついて言いました。 『 僕、 お父さんと離ればなれなんていやだ! お父さんと一緒にいる! 』 すると小太郎の頭に、 ぽたり、 ぽたり と滴が流れ落ちました。 その滴は、溶けた体の水滴ではなく、 熊五郎の瞳から流れ落ちる涙でした。 『 小太郎、 頼むからそんなことを言わないでおくれ 』 熊五郎は小太郎の頭に優しく手を置きました。 『 私はお前に生きて欲しいんだ 』 そしてもう一度、 力強く言いました。 『 お願いだ、 小太郎。 生きてくれ 』 小太郎はしばらくの間、 熊五郎の胸に顔をうずめていました。 しかし、 ゆっくりと体を離すと、 座席の下に降りました。 そして、 『 お父さん ・・・・・ 』 最後にそうつぶやくと、 ギュッ と目を閉じて、 暗闇に向かって走り出しました。

小太郎の後ろ姿を見送ってから、 熊五郎は言いました。 『 先ほどは、 すみませんでした 』 『 ん? 』 『 いきなり体を蹴ったりして。 傷をつけてしまいました 』 すると観覧車は 『 そんなことか 』 と笑いながら言いました。 『 気にすることはない。 どうせオンボロの観覧車さ 』 そして二人はそのまま口を閉じました。 しばらくすると熊五郎が顔を上げて言いました。 『 私は 私のしたことは間違っていたのでしょうか? 私たちはずっと一緒にいるべきだったのでしょうか 』 『 いや 』 観覧車は深くうなずくように言いました。 『 もし君さえ良ければ、 もう一度回ろうと思うが どうかね? 』 熊五郎は静かに頭を下げて言いました。 『 お願いします 』 その言葉を聞くと、 観覧車は扉を閉め、 動き始めました。 ギィ ギィ と金属の擦れる音を出しながら熊五郎だけを乗せた観覧車のカゴはゆっくりと上っていきます。 熊五郎は観覧車の窓から夜空を見上げました。 そこには手を伸ばしたらつかめそうなほど近くに、 たくさんの星たちが輝いていました。

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あくる朝。 遊園地の係員が “ アイスワールド ” の鉄扉の前にやってくると、 扉のすぐそばに置かれていた発泡スチロールの箱がゆっくりと開きました。 そして “ アイスワールド ” の扉が開くと同時に、 箱から出てきた小さな氷の熊がするすると中に入っていきました。 『 なんだ? 』 係員は足元を何かが通り過ぎた気がしましたが、 気のせいだと思いそのまま始業の準備を始めました。 

その様子を高台から見ていた観覧車は感心してつぶやきました。 『 遊園地のどこかで発泡スチロールの箱を見つけたようだな 』 そして観覧車は、 『 あの子は本当に賢い子だ ・・・・・ なあ 熊五郎さん 』   誰もいない、 濡れているだけの座席に語りかけたのでした。
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by natuyasumi2010 | 2011-08-06 14:35 | 推薦図書